ジンバブエのインフレは有名な話しでこの地を旅すると全員が「道すがら土産として売りつけられるアイテムの1つ」と書かれている通りなんですが、そんなことよりも「結局今ジンバブエに行く時に準備するお金って何なの?」と思って出かけたのですが、なんてことはないシンプルな状態でした。
インフレはすっかり安定し、為替はドルとリンクし、新しい「ジンバブエドル」と「US$」の両方が流通しています。ということでUS$を持っていれば旅は楽しめますがレートを突き詰めるとジンバブエドルの方がお買い物にはお得です。これは日本での生活を考えても当然ですよね。仮に外国人からUS$を受け取ったとしても両替すれば手数料が掛かりますからUS$が通用しても総じて割高です。
ということでジンバブエでは基本US$だけで行動していましたが、お釣りでジンバブエドルを受け取ることもあるの使っているうちに少しずつ手元にジンバブエドルが増えます。
現地の方にこの手の話しを聞いたのですが、今ではすっかり落ち着いており、かつてのような混乱は収束しています。ただあらゆるところに余波が残っているので「生活への支障は感じなくなりつつあるけど国家全体としてはリハビリ中」といった感じです。
どこかで必ずお土産としての旧ジンバブエドルを目にすると思いますが、私はこの国に来たことが無いのに日本で持っておりました。
実は6-7年前に古本屋で購入したガイドブックに、たぶんその本を持って旅したであろう方がしおり代わりに使っていたであろうお札が数枚挟まれたまま購入したことがあり、現地で見ても全く興味が湧かなかったのですが、どこの国でもこの手の売り子は商魂たくましいわけです。とにかくしつこい。
常に「もう持ってるよ」とか「知ってるけど使えないお金は要らない」と断っていましたがある意味見面白さも感じていました。そういう売り子の「売れると感じられなくなるギリギリまでしつこく売り続けてくる」姿勢はどの先進国も消えましたよね。
ネット世界の「おすすめ機能」に変わってしまい、それがとにかくしつこい。
そういう視点で実際の人間の行動を感じられない世代に入れ替わると「プログラムはガシガシ書けてもシステム作りのツボを突けない若者が増えて当然だなぁ」なんて思っていました。やはり自分の意思で海外に出かけ、人間の行動を観察することは大事だと思います。
「10か国以上旅した学生限定「旅人採用」」が話題ですけど分かる気がします。
「かわいい子には旅をさせよ」でも触れましたけど、仕事のニーズやシーズは意識しないと分からないことが多くて、そういう観察力がある人だといいんだけどみんなロボットみたいな仕事をしてて、そんな仕事はそのうちなくなるって言っててもまだしてます。私のような凡人な人ほど常識が邪魔して思考停止しちゃいます。
でもなんとなく「非常識で柔軟な発想ができる人求ム」みたいな空気を感じますよね。そういう空気では分かるんだけど感覚として伝わってくる文字感すら「非常識で柔軟な発想ができる人ってだれ?」の時代が続いていました。それを具体的に今風に分かりやすく「10ヶ国旅した学生限定」にした瞬間に気づくこの感覚。
そういう「なんで自分って普通なんだろう」って人ほど非常識な国へ飛び込むと意識しなくても非常識だらけの知識が身についちゃうので「あの人やたらオモロイ」みたいに見えちゃいます。
売り子さんなんて過去に散々追いかけ回されたはずなんですが、日本の生活では全く感じなくなったことで余計に新鮮でした。変に興味が湧いて道端で与太話するわけですが、よくよく考えるとこれまた日本ではあり得ないことしています。
赤の他人の物売りと道端で与太話。日本でやりまくったら変なおじさんです。
でもこういう人との接点とか、会話の壁をなくすとか、相手を知ろうとするとか…忘れかけていた人間としての視点を自然と思い出させてくれた感じがしました。それだけ人間らしくない不自然な生活をしてるってことだと思います。
それにしても根負けするほどしつこい物売りに負けて買ってあげたのが上の写真のセット。メモ用紙以下の価値なので本当にいらないのですが、これを「10US$で買ってくれ」と寄ってきます。0を全部足すと天文学的数値ですし安く感じますがただのゴミです。
改めて計算すると850億ドルぐらいありますね。先の100兆ドルに比べるとカスみたいな金額ですけど、どっちもただのゴミです。
そのうち「5US$で買ってくれ」と言い始めます。「1枚1US$と計算し、6枚セットだから安いだろ」という理論で攻めてきます。全く説得力のない理論。ただのゴミです。
最後は「幾らでもいいから買ってくれ」と言い始めます。ということで6枚1US$で買ってあげましたが、他人の手垢だらけの不衛生なゴミです。
ちちなみに当初は大ブーイングと聞いていたBOND COIN硬貨。ジンバブエという文字すら書かれていない通貨として不人気だったのに…普通に流通しています。
世界広しと言えど旅行中に両替以外で「使えるお金」で「使えないお金」を買う視点は珍しいですからちょっとお金について考えちゃいますよね。
お金は「みんなが価値があると思えば使えるし、価値がないと思えば使えない」だけの話しです。価値があると思い続けてダラダラと旧態依然としたことを延命しているうちにハイパーインフレになったわけですが今ではチャラにしてUS$ペッグ制。
そのUS$が安泰かと言えば国家は火の車ですよね。もちろん日本円も安泰ではないのですが、ジンバブエは複数基軸通貨を採用しているので理屈では日本円が通用する国です。でも私が「日本円と交換してくれる?」って聞いても「これ日本の金か?面白れーな」ぐらいのことで話が終わります。私も分かってやってることなんですがこれを突き詰めると「使えるか、使えないか」に行き着きます。そんなとこからも仕事に応用できる気づきがあるなぁなんて思います。
例えば働き方改革の高プロ(1075万円)の議論も現状と比べ下向きな数字で蟻の一穴議論は想像しやすいことですが、インフレ状態で妄想できる人は少ないような気がします。
こういう「どーでもいいこと」はネット検索すれば誰だってすぐに調べられて「そーなんだ」だけの話しで普段の生活にはほとんど必要ないことなんですが、検索結果は「すぐ忘れ」経験は「後日思い出しても具体性がある」ので、案外とビジネスヒントの種になったりしますよね。
この時仮想通貨についても質問もしてみたのですが庶民にとっては全く縁遠い話しです。
単語すら知らない人が殆どでまだまだ現金の世界です。それは当然で、携帯電話会社の看板には「4G」の文字が踊ってはおりますが普及段階。クレジット決済をすれば決済時は未だ3G通信が主流なわけで、通信が途切れれば価値を失うことも有り得る仮想通貨ですし。
もし仮想通貨が広く認知されればアフリカ社会も超スピードで前進することは間違いないでしょうね。多くの人がスマホを持っていますから。
ハラレでファストフード店の料金を見ると「えーっと、普通に日本と似た金額じゃん」と思うぐらいのお値段。バーガーとチキンとドリンクみたいなセットのアレが5-600円ぐらいしております。インフレは収まっていても一般的生活水準では考えられないほど住みにくい価格ばかり。ちょっと驚きました。
その近所のスーパーでバナナとかリンゴを買うと2-3個が20-50円しました。それが人通りの少ない住宅地の路地裏だ1円とか一房10円とか。どこの国でも「人か集まると土地代と人件費が上がり、地方に行けば人がおらず物価が安いのは一緒だな」と思いながら楽しみました。
ということで2018年3月現在でジンバブエをウロウロするときUS$があれば問題なかったメモでした。それにしてもUS$というお金で世界を縛る作戦…凄いですね。
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