キリマンジャロ登山 マチャメルート 6日目

アフリカ
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自分の足で下山して登山完了

5泊6日の行程最終日です。

5日目に登頂出来たのはよかったものの、下山開始直後から酷い状態になってしまい疲労困憊の6日目は絶不調。

夜の0時過ぎから2時間おきに吐き気に襲われて目覚めるも、吐けるものを一切口にしていないので5-10分すると収まり、再び寝たかと思えばまた起こされるという繰り返しでしたが、さすがに朝日が昇り始めた頃イライラし始め、テントのチャックを開けて外に顔を出し、口に指を突っ込んで「出るもんなら出てみ」的な行動をとってはみたものの、やはり出るのは辛さによる涙だけでした。こういう経験を多くの方がされてるんでしょうね。辛い起床と共に下山スタートです。

しかしね、噂では聞いていた緊急搬送用一輪車などもチラホラ目にすることが多い日で、これで搬送される人もいれば、これを担いで上がる剛力もおり、「まぁ、やっぱり一般の人が登るには楽ではない山だなぁ」と思いながらトボトボと下山する日でした。

搬送される人もいれば…

6人がかりで猛ダッシュで下りる搬送用の一輪車…

それを準備する人もいるわけで…

たった1人で担いで登る剛力…一瞬脳裏をよぎったことは「まさかコスト消化に使ってるんじゃないだろーな」というへそまがり思考。

登山6日目の感想

◾️6日目ルート(下山)

一般的には3,080mのムウェカキャンプから1,630mへ約10キロを3時間かけて下りるとムウェカゲートという行程です。殆どの場合11時前後に到着し、お昼過ぎにはモシの町へ戻ってゆっくりできる日です。

が、

私たちは3,790mのミレニアムキャンプから1,630mのムウェカゲートまで約12.1キロを約6-7時間かけて下りるパターンへ変更です。標高差2,160m。当然ゴールはお昼を回ります。

でね、こうやって5日目からの下山状況をハプニングのように書くと「そういうこともあるんだ」となりますがキリマンジャロはキャンプ地が点在しているので行程は自由に組めます。

一般的にはマチャメコースが景色を楽しめるとか、マラングはコストパフォーマンスが良いけど単調と言われますが、登山前はズブの素人なので判断できずパターンにはまるだけ。日程、高度、距離、予算を考えて「オリジナルルートを組むこともできる」ことをガイドから聞いたので帰国後に調べたら情報は山ほどありました。英語で。

キリマンジャロは活火山なので山頂はお釜状になっており、その縁にたどり着いて「やったー!」と喜ぶわけですが、そのお釜の中でキャンプする人たちも実際に見ました。ただ下見できるような近所の山ではないので…やっぱりある程度決まったパターンに乗っかるのが楽ですよね。

◾️6日目下山時の装備

綿ポロ&薄手のシャツ、パーカー、ダウンという4枚。パンツは早速足首までまくりあげるパターンで出発したものの、高度はぐんぐん下がりますから最後は綿ポロ&薄手のシャツ2枚でパンツもふくらはぎの上まで….やはり下界は暑かった。ゴール地点では汗だくでした。

体調がすぐれなかったことが悔やまれます。

◾️歩行スピード

登山スピードの2-3倍の速度で歩いたと思います。

というか、下りなので勢いがつくと止まりにくく、ついつい早足になるのは仕方ないです。ゆっくり歩きたいのに勝手に早足になります。更に各チームのポーターが小走り気味なので勝手に煽られている気持ちになって「私、こんなペースでOK?」的な雰囲気になっちゃいます。

ムウェカキャンプとムウェカゲートの中間地点ぐらいまでは足場の悪いところを進むので疲労感満載の行軍ですが、ゲートが近づくにつれ森林地帯となり、ゴールが近づくと猿も登場し、足場も車が通れる状態までよくなりますから体力が残っていれば最終日は「ちょっと手応えのあるトレッキング」だと思います。若い方だと散歩レベルかもしれません。

ある時は登山道。ある時は下山道。ゲート手前は平常時なら散歩道。

◾️ハプニングの顛末は…

前日死亡寸前のバディがどうなったかというと、最終日は嘘のように正常に戻り、何事もなかったのようにガンガン下山し、終始リード。

私より遥か先を進むのであっという間に見えなくなるのですが、休憩ポイントに着くとガイドへ渡すお礼の手紙を書けるまでに回復していました。たぶん昨日は泥のように寝たと思います。会話も普通の状態に戻り危ないのは私の方でした。

完全復調。10人分書くのは大変だったろうなぁ…

やはりね、登りたいという気持ちや辛い体調と戦う日々ですから登り切るまでは無意識に緊張していたと思いますが、任務完了と同時にリラックスし薬とのご縁もなくなり本来の姿に戻ったんでしょうね。

それはそれで一安心でした。

さて、私はというと昨晩からの絶不調が続きゲート到着後も吐き気は収まらず、落ち着いたのは下山の2日後でした。初日から下山まで全て動画で記録していますが最終日の私は完全にアゴが上を向き、カメラを持つ手はフラフラ。酷いものです。

つまり4日目に食事を抜いて睡眠を重視したおかげで登山は成功したものの5日目も食事せず6日目も食事できず、下山後翌日の7日目も食事できず、8日目の夜になってやっと食事が喉を通る状態でした。合計4日間水分だけで過ごしておりました

高山病、怖いですねー。食事、大切ですよー。

◾️到着後と消費水量

この日の水分消費量は約1.5ℓです。高度が下がるせいで喉が渇くのに吐き気がキツくて補給する気になれなかったことを思い出します。かなり無理して飲みました。

6日目の下山後半戦は荷物を持つのも面倒臭くなりとうとうこの登山で初めて手ぶら歩行。ウェイターがアシストしてくれました。たった14Lのバッグを持たないってね…さすがにちょっと甘えております。自分でも「そんな小さな荷物すら持てないのに登山を語るな」と思いますが、吐き気との戦いというのも初めての経験で…20分に1回ぐらいは止まって最低でも1-2分呼吸を整えてを繰り返す下山でした。

ウェイターの気遣いに甘えまして…

見ての通りウェイターの60L近いバッグの上に私のちっこい14Lバッグにウェイターの緑色のジャケットの上に私のパーカーとダウンが乗っかった姿。このウェイターという謎の役職(というか立ち位置)ですが…時にポーターとして普通に荷物を担いで登山していますからポーター兼ウェイターなんですが、とてもタイミングよく気遣ってくれるムードメーカーでもありました。

ま、私の荷物量なんてゴミレベルの軽量ということでお許しあれ。

しかしですね、睡眠時間は相変わらず。登頂日以外の全行程で毎日8時間をキープしましたから止まって動けなくなることは一度もなかったですね。

なんとかムウェカゲート到着。燃え尽きた。

MWEKA GATE 無事到着。ほんとにしんどかったなぁ…

到着時間の記録が無い :-e  たぶん14-15時の間にゲート着だと思います。

常に気遣いの人だったウェイターのシェンゲナに感謝。

ゲート付近の売店で飲み物を買えるのですがビールで祝杯をあげることもなくファンタをチビチビと飲んで登山を終えました。感慨に耽る余裕もなくそそくさとモシの町へと戻り、その足で次なる目的地アルーシャへ移動したのでした。

「ゴクゴク飲みたい」と思って買ってはみたもの、本当に少しずつしか喉を通りませんでした。高山病、恐ろしいですね。極限に達すると体は拒否し続けて言うことを聞いてくれなくなるんですね。学びました。

この時メインガイド、サブガイド、ウェイターも側にいて何かのドリンクを飲んだ時にお金を支払ったことは覚えているのですが、エナジードリンクかコカコーラか…そういう記憶も思い出せないぐらいの疲労でした。

キリマンジャロ登山のまとめ

 

◾️誰でも登れる山と言われるが、それは…

ガイド、ポーター、コック、ウェイターの現地スタッフ10名と旅行手配してくれたデイヴィッドのお陰です。この方々抜きに登山は1ミリも語れません。今回は天候にもチームにも恵まれました。なかには「ガイドの案内がない」「ペースが早すぎる」「荷物を手荒に扱う」みたいなこともあるようですが…まぁ、しいて言えば荷物は完全に砂埃まみれになりますが、こういう登山で平地と同じサービスを求める方が無理な話しで汚したくなかったら「自分で担いで登れ」ということです。この方々には感謝しきれません。

受託手荷物14kg

でね、ポーターが持てる荷物は15kg以下と決められていますが、私が日本を出るときに準備した60Lバッグの受託荷物は空港計測時14kgでした。その中で不要なものはホテルに預けますから11kgぐらいまで減りますが、そこにレンタル装備を足すと最終的には14kgぐらいになっていたと思います。

60L(約14kg) + 14L(約6kg) = 約20kg

そして自分が背負う荷物は14Lバッグと書きましたが、その中身は「4ℓの水+α」ですから約6kg前後の荷物を自分で背負っての登山。これを全て自分で背負うと約20kg。自力登山の三分の一以下の量しか背負っていませんから登山が楽チンなわけです。更に食料、水、プロパンガス…全く無理な量です。

下山後に考えたことは仕事のことで、「半分は自力で頑張ること。残りの半分は他人に助けてもらって頑張ること」でした。経験を積んで自分ができる範囲を増やす…。

◾️登頂確率は体調や環境にもよる

普通の生活環境ではない場所をウロウロしますから、ポーターのように登山を繰り返していれば体の順応も早いでしょうが日本のような海抜0m生活が日常ですと高低差だけでも負担です。到着直後は時差ボケもありますしね。

その状況で風呂ナシ、不衛生なトイレ、不慣れな食事、野営スタイルの睡眠、探り探りのコミュニケーションなど全てがストレスや生理現象に直結するネガティブな変化なので、順応できないと体力はどんどん落ち気分が滅入ると思います。こういうワイルドな変化を楽しめないと苦痛で終わるだけ。

しかし風呂はなくても毎日洗面器1杯のお湯を準備してもらい、トイレは存在し、可能な限りのバリエーションで食事を準備し、テントを設置収納してくれ、スタッフも全員親切。そういう段取り、コスト、サービスではありますが全てに感謝です。

温かい食事を毎日山中で食べれるんだから贅沢の極み。

私が日本から持参した食料はカロリーメイトだけでしたが毎日行動食も準備されるので不要なぐらいですね。毎回の食事にも大満足です。ということで、高度順応や体力づくりが注目されがちな高所登山ですが、普段と異なる生理現象への対処を楽しむ気持ちも大切ではないかと思います。

キリマンジャロ登山も百人百様。中年オヤジ情報が少しでも役立てば幸いです。

人生の良い経験、良い思い出になりました。

 

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