キリマンジャロ登山 マチャメルート 4日目

アフリカ
マチャメルートを初日から順を追って確認されたい場合は コチラ からどうぞ。

4日目は目に映る景色だけでノックアウト

5泊6日のマチャメコースは前後半の2部に分けられると思います。前半の3日間で体力を使い果たすと後半の3日間はかなりキツイ内容になると思います。

3日目にラヴァタワーに向かうことで高度順応することばかりが注目されがちですが、私にとってはラヴァタワー下山時の疲労が苦痛に感じました。確かに高度順応するメリットが大きいのですが、1日で「登って降りる」というルートは3日目と5日目の計2回です。

2日目までは登ることだけで考えて進めばよいことも3日目にして下りる体力を使うので疲れるわけですが、日に日にコースがキツくなるので登山日程が短いほど体調管理は大切ですね。そういった中で徐々に近づくテッペンだけが「あと少しでゴール」という気持ちにさせてくれる唯一の楽しいことでした。

「あの雪の近くがゴール」それだけ考えて歩きました。

登山4日目の感想

◾️4日目ルート

3,900mのバランコキャンプを後にし、3,995mのカランガキャンプを通過し、4,673mのバラフキャンプを目指します。一般的には10kmを8時間で踏破する日です。高度差は約800mにも関わらずルートは確実に険しくなっています。

こんな水場も通過しながら上へ…

「6泊7日コース」にするとカランガキャンプで1泊できるわけですが「5泊6日コース」ですのでバラフキャンプまで一気に進みます。実際に歩いた感想は「確かにカランガキャンプで1泊増やせば登頂確率は上がるだろうな」と感じるコースです。というのもこの日から次の5日目に至る夜には頂上アタックですからマチャメルートで最も険しい1日のスタートです。4日目からは山頂付近の雪景が視界に入ってくることも増えてきます。

それにしても出発開始早々に立ちはだかる壁の姿を見ただけでノックアウトな心境でした。確かに山頂に近づいていますが…ルートによってはこの山を2日程度で制覇する強者もいらっしゃるようではありますが…山登りしている自分をバカらしく感じるほど強烈な壁でした。

4日目はスタート直後から「グレートバランコウォール」の攻略へ…

しかしポーターは平然と登り続けます。

ポーターの働きには頭がさがる

このポーターの方々、タンザニアに関わらずセブンサミットと呼ばれるような場所にはいずれの山にも剛力が存在するわけですが…もしタンザニアの人が経済力を持ち得ていたらセブンサミットを登れる人は多いでしょうね。頭に荷物を載せてポケットに手を突っ込んで歩くバランス感覚は並外れた身体能力。

今となっては日本で頭の上に荷物を載せて歩く姿は京都の大原女を観光や絵で見るぐらいのことですが…中には20人を超す大パーティー団も参加していてパイプ椅子や大きなテーブルを運んでいる姿にキリマンジャロ登山の価格と中身を考えさせられる日々でした。

グレートバランコウォールは自撮りでは危険度や恐怖感が伝わりにくい場所で、プロが遠くからズームで撮る影像じゃないと写真程度では険しさが伝わりにくい場所です。NHKが2010年に放送した「世界の名峰グレートサミッツ キリマンジャロ」などは約2分間このシーンが映されています。ちなみに同番組は撮影ルートも面白くキリマンジャロ登山の計画に役立つ内容だと思います。

話はもどり、我が隊のポーターはと言いますと、他のパーティー同様に毎日我々本隊より後に出発し、次のキャンプ地へは我々より先に到着して寝床などの準備をしてくれるのですが、初日から5日目に至る全行程で一番若いポーターがその日のキャンプ地手前約1-2キロ手前まで降りてきてチーフガイドの荷物を背負ってくれるサポート体制でした。

一度登って、再び少し降りて、また登る。高度順応という言葉が不要な強者。

つまり…

最初はそれぞれが荷物を背負って頑張るも…

やはり疲れは生じ、荷物を持ってもらえるだけで楽になります。先発隊がチーフガイドの荷物をサポートし、チーフガイドがバディの荷物を持ってくれ、客はどこまでも軽量で登山に挑戦できる贅沢なシステム。

チーフガイドとて体力温存は重要!当人の荷物は若手ポーターの手で先へ!

ベテランガイドとはいっても「自分の荷物+我々の荷物」となると大きな負担。そうなるタイミングを計算しているかのように若きポーターが現れ、チーフガイドの重い荷物を持って駆け上がり、皆が助け合ってチーフガイドの疲労軽減に努める姿にチームワークの良さを感じました。本当に素晴らしい山男達です。そういえば…他のパーティーには女性のポーターもいました。男性と同じように登る姿に圧倒されました。

メインガイドを務めてくれたアレックスは終始とても穏やかな方ですが、ポーターとの調和の取れた行動に学ばされました。おそらく縦社会的な規律があるにも関わらず、そういう空気を一切感じささないのに素晴らしいチームワーク。見事な調和です。

できるリーダーってこういう人ですね。

常に先頭を歩き、後方も確認し、周りの環境を察知し、ペースを自在に変え、客の思考(嗜好)でトークをいじり、確実に目標を踏み、仲間全員を目的地へ導く。よい勉強になりました。

◾️4日目装備

この日はインナーに綿のポロシャツとポリの長袖、アウターにマウンテンパーカーの計3枚でスタートしました。パンツは相変わらずのスタイルで足首までまくりあげていました。しかし歩き始めると暑くなりパーカーを脱いだり着たりの繰り返し。

それも4,000mを越えると雰囲気はガラリと変わりライトダウンを追加し4枚装備。帽子はニット帽が登場。そして手袋も。なんとなくアタック本番が近づいている感じです。

天候に恵まれていましたが4,000m以上の自然界には勝てません。

いよいよ本格的登山を感じる日です。

前日もたっぷり睡眠をとったので体力的には60%の状態で登り始めたのですが終わってみればヘロヘロ状態で、バラフキャンプに到着した時の体力は25%ぐらいまで落ちていたと思います。ほぼガス欠状態。60%の体力が半分以上減った感覚で、かなりキツかったです。

◾️歩行スピードと所要時間

バランコウォールという強烈な壁を這いつくばってよじ登りますから遅いですよ。とっても。とにかく登りはスーパースローです。でもね、少し平坦になったり下りだとスピードがチラッと上がりました。これが辛かった。

何度も「もう少しスピードが遅いとありがたいのになぁ」と思ったのですが、スケジュールというものがありますから勝手は言えません。私、時計を持たずに登山していましたからいちいちバディに時刻を教えてもらわないと把握出来なかったのですが、時間と高度を聞くたびに「もうちょっとスピード上げないとバラフキャンプ到着が遅れるなぁ」とも思っていました。

つまり日本で努力を怠っている平凡な怠惰オジサン(つまりその辺の普通の人)だと4日目辺りで体力の限界を感じると思います。逆に準備万端であれば「苦しくとも半分の体力を残してクリアできるポイントかなぁ」なんて思います。

この日の所要時間は約10時間。平均より2時間オーバー。

バラフハット到着。疲労困憊の4日目でした。

◾️到着後と消費水量と睡眠時間

到着が18時ごろでしたから予定より約1時間半ほど遅い到着。ほぼ丸一日歩いて体力残量は25%レベルですから疲労困憊なわけですが…。

で、ポーターの方々は早々と到着しているので18時30分頃には夕食の準備が出来ていたようです。が、私、例によって爆睡モードへ。

さすがに疲れ果てて夕食を食べる気にならず、とにかく休息時間が欲しくてテントに入ったと同時に倒れこみました。そそくさと寝袋を準備したかと思った瞬間に寝ていたと思います。そうしますとね、メインガイド、サブガイド、ウェイターと順番に「飯が出来てるから食べろょ」と声を掛けに来てくれるのですが体が動かなくて夕食を断ったんですね。

で、確か4度目ぐらいに…たぶんチーフガイドのアレックスの声だったと思うのですが…再び声を掛けてくれた時に「飯は要らねぇ、寝させろ、何度もしつこい」と怒鳴り散らしました。本当に。もちろん「良くない態度だなぁ」という自覚はあったのですが、何せ体が言うことを聞かないわけで、どうしようもありません。

4日目は私でも疲れて倒れこむぐらいですからバディも疲労困憊であったと思いますが夕食の席には向かったと聞きました。

ということで、私は到着後テントに入った数分後には落ち、そのまま深夜のアタックに向け許す範囲で泥のように眠ったのでした。一般的にはここで平均2時間寝られるようですが、私は4時間熟睡しました。このお陰で体力は50%ぐらいまで戻ったと思います。

何度も書きますが、(私の場合)食べなくても死にません。ミートテック。ただ、寝ないと死にます。それだけ睡眠は重要視するタイプ。

この日の水分補給は3,5ℓ。それだけ疲れるルートでした。振り返ってみてもこの4日目が(前日の疲労も重なり)一番キツかったです。

◾️高山病対策

前日(3日目)に簡易対策でバファリン半錠と書いたのですが、さすがに頂上アタックが近づくと体調管理も自己判断できるような高度でもなくなるので4日目と続く5日目にアセタゾラミドを飲みました。実は日本で処方してもらう時間をとれなかったので海外の友人に頼んで送ってもらったジェネリック薬品でインド製なんですが、機能としてはダイナモックスと同作用と言われています。

ジェネリック : ACETAZOLAMIDE (1カプセル 250mg)

ただダイナモックスは日本では処方箋がいる薬ですし、そもそも服用自体が体にとって負担となるにも関わらず無理やり体調維持のために利用するもので、更に友人手配のジェネリック対応は他人に勧められるようなことではありませんので自己責任。

2つ減ってるでしょ。4日目と5日目の未明に服用しました。

ちなみに4日目の登山終了時から日付が変わって5日の頂上アタックスタートに至るまでの時点で高山病を感じさせる症状は殆どありませんでした。

疲れるポイントは人によって様々ですが「マチャメルートで何日目が厳しかった」と聞かれたら間違いなく「4日目」と答えます。続く5日目も大変ですが…その5日目の山頂アタックに向けた静養時間が無い故に体がキツイという点では4日目の勝利。「だから6泊7日を選ぶ人もいるんだなぁ」とか思った1日です。

目指すはあの頂き!(下界で毎日お世話になるお水のトラック)

 

キリマンジャロ登山 マチャメルート登頂日(5日目)

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